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2005年06月22日

[小説] 冷たい密室と博士たち (森博嗣)

推理より仕掛けを考えてしまう俺ガイル。

ちょっとやさぐれ気味な大学助教授犀川せんせいとバトラー付きお嬢様西園寺萌絵嬢の理系ミステリぃ。
個人的に思う特徴として、
・トリック――というか謎に至までの情報提示が実に紳士的。
・登場人物全員COOL。あと警察は聞き役<何
うわーシステム信用ならねぇ

というか「すべてがFになる」もそうだったんですが相変わらずシステム的にアレなところが突かれています。
個人的には「誰が犯人か」そっちのけで「どうやって仕掛けたか」を考えていました<何

やー、でもUNIX OSでFDマウント直後に自動起動する機構やウィルスなんて聞いたことないしなぁ。窓じゃあるまいし
とすると渡されたプログラムを犀川せんせいそのまま実行したか。
まぁ知っている顔、しかも学内でそれなりに権威あるひとからのものであれば、
そう疑うこともないだろうとは思う。

ソースコードが添付されていたのがちょっと気になった。
そのコードにはトロイも含まれていたのか、というところが。
もしそのコードがダミーで含まれていない版だとすると、
そっちをコンパイルされて実行されたら意味無いからソースにもトロイ入りなんだろうなぁ。
たぶんバイナリコードにしてあって、実験用アセンブリとか書いてあったに違いない。
うん、これなら軽く見ただけではわからないだろう。
まーそこまでしなくても多分ばれなかったんじゃないかとは思うけど、
ベタであやしいコードがあると偶然見つかる可能性が高くなるからなぁ。
そしたら真っ先に疑われるし。

顔見知りじゃなかったらちょっとキツイ、むしろguestでログインして仕掛けたとしたほうが
信憑性はあったかもしれないけども。

それから事件の動き方が、なかなかファジーでおもしろいですね。
結果として表れるのは一つなんだけれども。
そこに至るまでの仮説を立てるところとか、犯人一発で当てる推理小説では無い感覚が。
事件の流れも計画通り、かつ偶然に妨げられるというのはあるんだけれども、
その場に起こっていたことを偶然も含めて駒を動かす感じ。
犯人当てゲームではなく矛盾のない仮説を探す感触は、理系だからでしょうかw

追記
「UNIX OSでマウント直後のオートラン機能」について調べていたとき、
ちょうどこの小説の揚げ足取り日記に出会いました。
どこの誰とは申しません
方法として、rootそのものになる方法は存在します
それはrootとは別のユーザアカウント/パスワードでログインして、
rootとは違う、普通のホームディレクトリや環境変数を使い、
でもシステム的にはroot、みたいなー

その際にはrootパスワードは要りません。suもしません。

えーとねー具体的にはまずえとsうわなにをするやめろはなs
 
 
 
 
 
はーはーはー。
まぁ、ちょっとトリッキーな方法なので普通はしない。
だから普通にwheelに追加してやった、rootパスワード教えた……

と思ったんですけどよく読むと、「失踪するから他の人が困ると思って『設定』していった」と本文にあります。
状況的にwheelに追加してパスワードを伝えるという悠長なことをしていたのかどうか。

しかもその失踪については本編では謎のままであったものなので、メールを書いて連絡したとかそういうほうがありえないと思う。

てことはむしろrootにしていった可能性のほうが高いのか?
教授(責任者)にナイショで?

超職権乱用じゃないっすか!
管理者モラル低っ
 
 
……でも、精神的状況を考えると、微妙な生真面目さが垣間見えてちょっと切ない。 
 
 
 
またその日記では、
「管理者が変わったのにパスワードが変わらないはずが無い
だから、以前のパスワードを知っていてもrootにsuするのは不可能である」
 
 
ははは。
 
 
 
 
 
そう信じていた時期が、ボクにもありました。
 
 
 
 
 
 
 
_| ̄|○

投稿者 kagerou : 2005年06月22日 00:11

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コメント

>「失踪するから他の人が困ると思って『設定』していった」と本文にあります。
そこは推論の部分じゃなかったっけ?
>状況的にwheelに追加してパスワードを伝えるという悠長なことをしていたのかどうか。
犯人とそのアカウントでメールのやりとりはしていた訳で、そのアカウントにルートと同じ権限を与えておく事ぐらいできるのでは?
メールやりとりの初期からルート権限を与えておいたのかもしれないし。
まぁ、モラル云々は同意。そもそも失踪時の1996年?から1999年?の間にPCが変わってないことのほうが謎な気が。
あの頃ってHDDって容量がG単位が殆ど無かった気がするし…
PCを入れ替えて無くてもHDD換装ぐらいやってなかったのかと。

投稿者 はさき : 2005年06月22日 10:45

よく見りゃすぐ下に書き込んだようなことが書いてある罠…orz

投稿者 Anonymous : 2005年06月22日 10:46

んー、PCではなくサーバ機でしょうね。
サーバはとても高価なのでおいそれとは変わりませんし、
加えてノンストップが前提なので、

「動いているうちはさわらない」

という理念があったりします。
90年後半のシステムだと、サーバごと今も動いているものも。
そろそろリプレイスの時期ですよ皆さん<何

HDDに関してはですねー、鯖のよこにHDDだけいっぱい詰まったストレージデバイスがSCSIでつながっていたりするわけで、
その頃で8Gx8とかあるわけで。
団体で買い込んだものだと数百万単位で動いているはずですから、1,2年で買い換えとかはあまり考えたくない。

UNIX系では通常、「rootと同じ権限」というのが、Windowsのように「root権限」そのものではなく、
「rootになれる権利+rootパスワード」という組み合わせになると思います。
で、それは本当に管理者以外は必要のないものなので普通はありえないのですが、
まぁ付与した相手も管理者より偉いといえば偉いですし……むしろ普通にパスワード知ってていても驚きません。
ていうか知らなかったらそれはそれで困る。

そう考えるとあのアカウントはほんとにメールを隠れて読むだけのもので、あれ本人がスケープゴートのように使用することも想定して、自分で登録したんじゃないか……とも思えますけどね。
管理者と一般ユーザじゃなくてリアルな立場を思い浮かべるとそれは結構容易。

つかここまで書いて思った。ナイショも何もはじめからメール読み放題だったんじゃ。ねぇ? <何

投稿者 かげろ : 2005年06月22日 23:16

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