TPPの著作権条項について


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TPP交渉 閣僚会合で大筋合意

ということで、来てしまいましたね…

TPP自体は多岐に渡る内容ですが、その中に含まれている著作権関連の条項については同人や二次創作への影響が強く、ひいてはアニメ、漫画、ゲームなどの文化に影響があると言われていました。

自分の考えを整理するのもかねて、著作権回りについてつらつらと書いていきたいと思います。

 

結局どうなったの

現在、内閣府から出ている資料からは、かねてから言われていたように「保護期間の延長」「非親告罪化」「法定損害賠償制度」が読み取れます。

環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要 (PDF)

著作権に関しては次のルール等が規定されている。

・ 著作物(映画を含む)、実演又はレコードの保護期間を以下の通りとする。

① 自然人の生存期間に基づき計算される場合には、著作者の生存期間及び著作 者の死から少なくとも70年

② 自然人の生存期間に基づき計算されない場合には、次のいずれかの期間

(i) 当該著作物、実演又はレコードの権利者の許諾を得た最初の公表の年 の終わりから少なくとも70年

(ii) 当該著作物、実演又はレコードの創作から一定期間内に権利者の許諾 を得た公表が行われない場合には、当該著作物、実演又はレコードの創 作の年の終わりから少なくとも70年

・ 故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。

・ 著作権等の侵害について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設け る。

 

解説はNHKの記事にも。

TPP合意内容 著作権の保護期間70年に

 

これによってどうなるの?

 

「保護期間の延長」では、著作権者の利益が守られる一方、広く公開、利用される機会(青空文庫など)が遠のきます。

「非親告罪化」は、海賊版対策の促進が期待されていますが、一般人による二次創作作家等の通報で「著作権者の意思とは関係ない」逮捕、それによる活動の萎縮が懸念されています。

「法定損害賠償制度」の合わせ技によって、それはさらに強い感じに。

 

ここからは個人の憶測になりますが、希望的観測から最悪に悲観的なものまでいろいろ言われています。

「市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない」という一文が入っているおかげで、むやみに二次創作が駆逐されることはないだろうという話はあります。あとコスプレはセーフかな?

また非親告罪化について「故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪」となっていて、これが主にデッドコピーを指してるのであれば二次創作は救われるかもしれません。

 

個人的には海賊版の撲滅に異論はないけれども、それによって二次創作、同人ショップなどが消滅するのはたまらないので、そのあたりを区分けして法整備してもらいたいと思います。

 

また、それが具体的になってきたら、著作権を持つほうが、態度をはっきりさせる必要が出てくるのでしょう…

今でも各社ガイドラインや同人マークなどありますが、何らかの意思表示をしないとファンを守れないようになるのではないかと。現行のガイドラインも一度、見直すことになるかもしれません。

(むしろ見直しで、同人ショップや電子販売など、現在の流通形態についても認められたらと思っています。地方在住的には)

 

なんにせよ、これから具体的に国内のことが決まっていくと思うので、それを注意しつつ良い方向になるように対応していくしかない。

主体は著作権者になるかもしれないですけど、どうすればいいかというのはファンのほうを向いて決められると思うので、声を出して伝えていくのが大切なのでしょう。

(といっても慌てて殴り込む必要もまだなくて、個人的には様子見段階ですかね…)

 

あとひとつだけ、「コミケ終了」とか「同人業界終了」とかいう話については懐疑的です。

まず「二次創作=同人」ではない。確かに影響はすごく大きいとは思いますが、ちゃんとオリジナルもあるし、ショップの棚に占める割合も年々オリジナルが増えて行ってる感じあります。

また著作権者が態度をはっきりさせれば、「許可された二次創作」は可能になりますよね。例えば東方project初音ミクみたいに。

明らかに商業規模の利益でているところはそのままだと拙いかもしれないというのはそうですが、逆に商売でやっているならちゃんと生存戦略立てますでしょ。割に合わなくて撤退という可能性もあるけど、オリジナルまたは安全な二次創作に移行するパターンもあるのではないかと。(大手=商売と言っているわけではないです。念のため)

同人ショップや印刷会社などの流通、製造が共犯とみなされて潰されるという話は、法律の内容と著作権者の対応によるかもしれません。例えば、明示的に許可された著作物の二次創作しか扱わなくなる、とかはあるかもしれない。それで成り立つかどうかはわかりません。

一番つらいのは、非親告罪化によって通報厨に作家さんが潰されることですね…これが懸念としては一番大きい話ですが、実際警察がどう動くかというのはわからないところある。いちいち相手してられないでしょう。そのために「市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない」というエスケープがあるのかもしれない。

 

私は同人業界の人でも作る側の人間でもないので、現状認識が間違っているところあるかもしれませんが、今の段階ではこんなふうに思っています。

よい未来があると嬉しい。

 

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