Script Life 千夜一夜

「……というわけで、すみません今日お休みさせてください……」
「わかりました。病院行ってゆっくり休んでくださいね」


病院？＜医者という概念がはじめから無かった奴



そうか病気になったら病院行くんだよなと
今更のように思い出す。
風邪なんぞ寝てりゃ治るを実戦してきた俺だから、今回も一日寝てれば大丈夫と思っていた。


しかし思う。


「一度やってみたかったこと。大病院で診察されてみたかった。」



ドジっこ看護婦さんやゴッドハンドがわんさか要るに違いないというユメミガチもほどほどに的な期待をしながら、せっかくだから市民病院へ行ってみることにする。

帰ってこれなかったらどうしよう
＜半分本気で心配していたけど


というわけでもう一眠りしてから車で病院まで。だいたい5分くらい。
着いてみると、駐車場はどこまでも満車で
頭痛にくらくらしながら空くのを待たされる。
カンベンしてくれよーマジで頭痛いんだからよー
このうえ駐車料金も取られるのかと思ったけれど、
外来患者は無料でした。これは良かった。


病院内は想像していたより綺麗で一寸驚く。
市民病院なんてどうせ薄暗いコンクリの建物だろうと思っていたけど全然違った。
とりあえず受付を探していると、その前に受診受付を見つける。
どうもそこで症状を聞いて受診する科を決めるらしい。
「症状は、とにかく熱が出て頭痛がするんです。熱が上がる前に寒気と咳が少し出ました」
「咳がひどいとか、下痢とかはありませんか？」
「昨晩はどっちも無いですね……風邪っぽいんですが、内科は駄目なんです？」
「内科の中でこれだけ種類があってですね……」
見ると、内科総合を始めとして８～９種類の科が並んでいる。
咳が酷い場合は呼吸器科、下痢や食欲がないなどだと消化器科へ振り分けられる。
風邪の場合はどちらかになるそうなんだけど、
俺の場合はどちらも別に意識して酷かった覚えがない。

結局、食欲など胃腸に来ているわけではないだろう、という消去法じみた感じで
呼吸器科で受診することに。
そこで書いた受付票を受付のカウンターに提出して、名前が呼ばれるまで待つ。
しばらくすると俺の名前が呼ばれたので、カウンターに赴きカルテを受け取った。
「呼吸器科は二階右手になりますので、そちらの受付に提出してください」
というわけで二階に向かう。右に折れてしばらく進むと「呼吸器科」と書かれた受付が見えてきた。
そこにカルテを提出して、ここでも名前が呼ばれるまで待つ。



一向に呼ばれず。
確かに人、多いからしゃあないっていやしゃあないんだけどなぁ……
暇つぶしに俺が暇になるなんて周りを観察してみる。
お年寄りの方が圧倒的に多くて、若い人は俺くらい。
やっぱあんまり来ないのかもね。めんどいし。


30分経過して、やっと呼び出しが掛かる。
それは予診といって、医師の問診の前に症状を聞いておくものだった。
そこでも熱っぽくて頭痛がすることを主に、身体の異常に気づいた時期などを説明する。
「風邪っぽい」とは自分でも思っているけれど、なるべく個人の感想を述べずに、
事実のみを述べるように注意しながら話をする。
昔、「風邪っぽいんですけど」って云った患者が医者に「風邪かどうかはこっちが決める！」って云われたという話を聞いたことがあったが、
事実以外の素人の思いこみは得てして相手の的も外しやすい。外れるように誘導してしまう可能性がある。
ミスリードは避けるに越したことはないので、それは気を付けるようにした。


でも結局まぁ風邪でしょうねって雰囲気だったんだけど。


念のためレントゲンを撮るというので、地下1階にあるレントゲン室へ行ってくださいとカルテを渡される。
地下1階レントゲン室。
妙に格好良い響きだ。レントゲンなんて撮ったことないしわくわくするぜ！　＜何

それを抱えて地下へ。エスカレーターを降りてすぐレントゲン受付を見つけて、そこに提出。
レントゲンは四角い大きな箱を胸に押し当てる感じで撮影した。
箱を抱え込むように腕を上げて、上のランプ表示に従って息を吸っては止める。
二回目は横向きになって腕を上部で交差させて獲る。
二枚獲ったらおしまいで、結果の写真を受け取ってまた二階へ。


なんかおつかいゲームしてるみたい


そのレントゲン写真を含めてまた呼吸器科の受付に提出して、また待つ。
待つ。
待つ。




……けだるさが最高潮に達する
割と真剣に、適当な風邪薬飲んで寝てたほうが有意義だったんじゃね？って思い始めるが、
もう来てしまった以上どうにもならない。
とにかく待つ。

だんだん人が少なくなる。
外来の受診受付は11時までということなので、
もう締め切られたから後は減るばかりなんだろう。
長椅子に寝転がるスペースが出来たのでもう駄目。寝転がる。

横になると幾分かは楽になった。
病院でうたたねなんて余計症状が悪化しそうなものだが、
腰掛けてうずくまっているよりマシなんでうたたねに転ぶ。
あー、すんげー楽。


そんなふうにまどろみながら時計を見ると一時間は経過している。
レントゲン写真提出から、一時間。
しまった寝過ごしたか！？と思って受付に確認すると、


まだ呼ばれていませんでした


またうたたねる。


それから十数分くらいしてから、やっと呼ばれる。
でもなんていうか、うたたねしてたら随分回復しちゃって、
もう結構平気になってるんですけど……俺。

診察室に入って眼下とベロのチェック、それから聴診器を胴体に当てられて、
「う～ん、風邪ですね。風邪薬と、熱が高いので解熱剤も出しておきます。
　週末ゆっくり休んでください」


終　　了



二時間掛けて頂いたありがたいお言葉である。
もう帰る。


カルテと薬剤指示の書かれた紙処方箋持って、受診料精算窓口へ。
そうそう処方箋だ処方箋。なんか名前あるような気がしてたけど思い出せなかった……
コメントみて気づきましたｗ
ここでもしばらく待つ。請求書を受け取って一階支払窓口へ。
支払い終わって領収書を見てみると、薬代が一番高い


うわぁ。一週間分も要らねぇよ
昔、医者から出された薬を律儀に毎日毎日無くなるまで飲んだおばあさんが却って体調崩したという素敵な笑い話があったが。
余分に薬出すにも程が……



まぁ、支払いは済ます。その後は薬を受け取るため隣のカウンターへ。
そこで処方箋提出して、整理番号票を受け取る。
どれどれ、900番台後半か……で、今はと。700番台後半までか。
ただいまの待ち時間60分




(ﾉ ｀Д´)ﾉ┻━┻　






「召喚師マリア 4」を読み終わる。「ゼロの使い魔」半分くらいまで読む。
「ゼロの使い魔」は意外と面白いな。いろいろ適当っぽいけど。
やっぱりキャラ立ちしているといろいろと目を瞑ってしまう俺がいる。


そして順番が来たので薬を受け取って、
最後に駐車券を無料化するために精算所へ行って、
やっとお帰りです。



風邪ですと云われるまで二時間
そこから家に帰るまでさらに二時間。



興味本位か大病以外では来るところではないな
というのが正直な感想になりました。
でも一度はこの理不尽な気持ちを味わってみるといいと思います＜何




さ、Fateホロウやろ……＜何