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2005年07月28日

[小説] Missing9 座敷童の物語 / 10 続・座敷童の物語 / 11 座敷童の物語・完結編

護り神と祟り神。
座敷童……といって先ず思い浮かぶのは、おかっぱ黒髪で手鞠を持った、奥座敷からこちらを見ている幼少の女の子。
幸運を運んでくるとか家が栄えるとか、そういう話はよくあります。


でも、それが都合の良いように定義された怪異で。


よくよく考えると、栄えた家は大抵「童が去って滅びる」というオチがついてくる。
結局は怪異が人に益をもたらすだけではない。という解釈を聞いたときに、
あーホントに都合の良いよう定義するもんだなぁ。と感じた。


本編は、座敷童とそれに類するもの……に見立てて、
山から「それら」を降ろしてくることを目的とした十叶詠子と、
やはりそれを阻止するために動き出す空目たち……
というよりは、一方的に引きずり込まれ、
神降ろしの物語に取り込まれていくように見えます。

空目は変わらず、いやむしろより冷静に、
武巳は痛々しいほどに必死に。
普通であることがむしろ目立つような面々の中において、
武巳の必死さは見ていられない部分もあります。

そして、覚悟を決めた――のではなく、
自分の動機を思い出してしまった俊也。
誇りと焦燥に掛けて、行動を見失う亜紀。
引き出された姉の呼び声とともに、夜会を彷徨う稜子。

欠けたものを取り戻そうとするための「見立て」は、
欠けたものを埋めてくれたかのように見えたけれど、
その、欠けた隙間を補完したものは一体、どこから来たものだったのか――――――

物語はすべての物語を統べるように、神降ろしの物語へと引き継がれる。

投稿者 kagerou : 2005年07月28日 01:27

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